①明治時代に仏教哲学者の井上円了が着手した、妖怪を研究する学問。
円了は1886年に東京帝国大学で不思議研究会を開設し、1893年に『妖怪学講義』を発表しました。円了が妖怪学の中で説いた「妖怪」は、現在一般的に用いられる「妖怪」という言葉とは範囲が異なり、世間で不思議や異常とされている事象全般のことでした(現在の言葉で言えば「オカルト」に近い)。そうした不思議を偽怪や誤怪、あるいは仮怪であるとして否定し、真正の妖怪である真怪を開くことが円了の妖怪学の目的だったのです。
②民俗学者の小松和彦が提唱する、妖怪を研究する学問。
小松は「妖怪研究は人間研究である」という立場を取り、民俗学、国文学、美術史、歴史学など、様々な分野の成果を総合する妖怪学を構想しました。2003年には、諸分野の研究者による妖怪研究の成果をまとめた『日本妖怪学大全』を刊行しています。
主な参考資料
[文献]
『井上円了・妖怪学全集』第1巻: 53-61、281-285ページ 井上円了 柏書房 1999
『日本妖怪学大全』: 9-28ページ 小松和彦 編 小学館 2003