妖怪の事典

おくすずめ

 和歌山県、奈良県に伝わる妖怪。

概要

 夜の山道を歩いていると現れる鳥で、チチチチと鳴きながら前や後ろを飛ぶそうです。

オクリスズメ 山路を夜行くとき、ちちちちと鳴いて後先を飛ぶ小鳥がある(南紀土俗資料)。聲によつて蒿雀(あをじ)かといふ人もあるが、夜飛ぶのだから鳥ではあるまい(動物文學三三號)。那智の妙法山の路にも以前はよく出た 紀州は一般に、送雀が鳴くと狼が附いて來るといひ、又は送狼が附いて居るしらせだともいふ(有田民俗誌)。伊豫の南宇和郡では、ヨスズメといふ一種の蛾がある。夜路にあるけなくなる程飛んで來ることがある。其ヨスズメは山犬のさきぶれだといふ(南豫民俗二號)。

『民間傳承』第三卷・第十一號: 12ページ「妖恠名彙(二)」 柳田國男 民間傳承の會 1938
【底本】『民間伝承』第一巻 民間伝承の会 編 国書刊行会 1972

伝承・逸話

和歌山県

熊野地方

 夜になって山道を歩いていると、チンチンと鳴きながらついてくる鳥。これがついてくるときは狼もついてくるといいます。

南部川村

 日暮れごろに現れて、チンチンと鳴きながらついてきます。特に悪いことはしません。

主な参考資料

[文献]
『民間伝承』第一巻 民間伝承の会 編 国書刊行会 1972
『妖怪事典』: 76ページ 村上健司 毎日新聞社 2000
『日本怪異妖怪大事典』: 87-88ページ 小松和彦 監修 東京堂出版 2013

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