長崎県に伝わる妖怪。
伝承・逸話
長崎県
西彼杵郡江ノ島
五月靄の中で漁をしていると突如、岩が崩れるような轟音が聞こえることがあるそうです。翌日になって現場へ行ってみても、何も異変はありません。
イシナゲンジョ 肥前江ノ島でいふ海姫の磯女などの同系らしい。五月靄の深い晚に漁をして居ると、突然に岩が大きな音をして崩れ落ちるやうに聞える。次の日そこに行つて見ても、何の變つたことも無いといふ。
『民間傳承』第三卷・第十一號: 12ページ「妖恠名彙(二)」 柳田國男 民間傳承の會 1938
【底本】『民間伝承』第一巻 民間伝承の会 編 国書刊行会 1972
柳田國男が「妖怪名彙」で磯女の同系らしいと記しているのは、おそらく石投げんじょという名の「じょ」を「女」と解釈しての説だと思われます。水木しげるも「磯渚女(いそなぎじょ)」だろうかと推測していますが、その一方で『広辞苑』は「石投げん尉」という字を当てて、石を投げる老人という意味だと解説しています。
諸説紛紛で確かなことはわかりません。