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槌転び

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【つちころび】

 鳥取県に伝わる妖怪。

槌転びの伝承・逸話

鳥取県

ツチコロビ 小豆洗ひの正體は藁打ち槌の形で、一面に毛が生えて居り、人が通ると轉げかゝると云つて居る地方も九州にはあるが(鄕一卷五號)、是は野槌などゝいふ道の恠との混同らしい 野槌はたけの至つて短い槌のやうな形をした蛇で、道の上を轉がって來て通行人を襲ふと傳へられ、中部地方の山地にはそれが出るといふ峠路も多かつたといふが(飛驒の鳥)、この空想は名稱から後に生れたものと思はれる。ツチはミヅチが水の靈であると同樣に、本來はたゞ野の靈といふに過ぎなかつたことは、古く學者も之を說いて居る。しかし現在はこの槌形の恠は全國に弘まり、伯耆中津の山間の村でも、槌轉びといふくちなはが居て、足もとに轉がって來て咬ひ付くと謂つて居る。

『民間傳承』第三卷・第十二號: 12ページ「妖恠名彙(三)」 柳田國男 民間傳承の會 1938
【底本】『民間伝承』第一巻 民間伝承の会 編 国書刊行会 1972

主な参考資料

[文献]
『民間伝承』第一巻 民間伝承の会 編 国書刊行会 1972
『妖怪事典』: 222-223ページ 村上健司 毎日新聞社 2000

白沢

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