足まがり
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【あしまがり】
香川県に伝わる妖怪。
足まがりの伝承・逸話
香川県
狸の中には「又足まがり」とて、正躰を見せず、綿の如きものを徃來の人の足にからみつけ行人を苦しめる厄介な奴がゐる。私の宅に女中してゐた東讃津田在の者は二十年前の事ある夜四、五人の女連れにて山中を通りしに列の最後の者に、此足まがりがからみついた事を實見したと言つてゐる。明治九年頃、父が旅行中鵜足郡岡田村役塲に一泊さして貰つた事がある。其時村長某が父に噺すところによれば、この近傍田圃に夜分、一つの石が思ひ掛なき徃來筋に時々出現し是を行人が跨がむとすると、ヌツト毛だらけの手を股間に突込むので、大抵の者は魂消てしまひ、殊に婦人などは大聲を放つて逃げることが頻々あつたが、或歳大水に一疋の狸が死し、後は恁る物騒な事はなかつたといふ。
『讃州高松叢誌』: 13ページ 宮武省三 共英社印刷部 1925
アシマガリ 狸のしわざだといふ。正體を見せず、綿のやうなもの往來の人の足にからみつけて、苦しめることがあると謂つて居る(讃岐高松叢誌)。
『民間傳承』第三卷・第十二號: 12ページ「妖恠名彙(三)」 柳田國男 民間傳承の會 1938
【底本】『民間伝承』第一巻 民間伝承の会 編 国書刊行会 1972
「まがる」は香川県や徳島県などの方言で「邪魔」を意味しているという。
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主な参考資料
[文献]
『讃州高松叢誌』 宮武省三 共英社印刷部 1925
『民間伝承』第一巻 民間伝承の会 編 国書刊行会 1972
『妖怪事典』: 12ページ 村上健司 毎日新聞社 2000
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